fiat magazine ciao!

ヴィンテージカーの祭典〜パリ・レトロモビル

ここ数年、欧州を中心にヴィンテージやヘリテージという流れに大きな注目が集まっています。ファッション、宝飾品、インテリアはもとより、自動車もその波に飲まれつつあります。

 

新しいものを否定するつもりはありませんが、こうした流れは、もっとロマンや楽しさ、美しさといった人間らしい、心に訴えかけるものに注目が集まっているのが原因かもしれません。

 

 

さて今回は、フランス・パリで行われたRETROMOBILE(レトロモビル)について。

RETROMOBILE,レトロモビル,旧車,蚤の市

レトロモビルとは、今年で43回目を迎えた欧州最大級の旧車をメインとした蚤の市。文字通り屋外でスタートした蚤の市は、折からの旧車ブームなどと相まって、もはや「蚤の市」というレベルを遥かに超え、立派なモーターショーともいえるような巨大イベントに成長しました。

 

 

ある種のアートとしての価値も見出されてきたという「ヴィンテージカー」ですが、投機対象としても人気が高まるばかりで、そうした流れの中、レトロモビルにも、かつてのような庶民然とした人たちだけでなく、いかにもお金持ちそうな方々も激増。それにあわせるかのように出展車両やブースも大変豪華になりました。

RETROMOBILE,レトロモビル,旧車,蚤の市

 

そんなレトロモビルの一つの目玉が、会場内で行われるオークション。2016年には1957年型Ferrari315/335Sが、$35,711,359(およそ38億円!)という欧州オークション史上の最高額を記録するなど、ますます世間の注目を浴びることになっています。

RETROMOBILE,レトロモビル,Ferrari315/335S

 

そんなお金持ちが集まるイベントですから、各メーカーも次第に敏感に反応するようになってきました。国際モーターショーに勝るとも劣らないレベルの素敵なブースを展開し、過去の資産やこれからのサポート、オーナーズクラブとの連携など、積極的なコミュニケーションを展開し、ブランディングの一環として活用するようになってきています。

RETROMOBILE,レトロモビル,ジャガー

英国・ジャガーは自身のブランドイメージの筆頭ともいえる、ル・マン24時間レースでの優勝車両をフルレストアして持ち込んだ。

 

 

市場価格の高騰は、カーマニアのお財布にとってはとても厳しい現実なのですが、一方でレストアにかけられる予算が激増したことによる仕上がりの品質の向上や、それによる実用性の向上。さらに、現在の気候や運転環境にも耐えられるようなアップデートなど、これまで以上に安心して旧車が楽しめるようになってきていることは喜ばしい事かもしれません。

RETROMOBILE,レトロモビル,FIAT

 

また、メーカーたちが自身のブランディングの一環とはいえ、パーツやレストアのサポートをはじめるということは、やはりマニアにとっては嬉しいの一言。

 

そんな中FIAT有するFCAは、本拠地のトリノとパリで「Heritage」サービスを発表しました。これは、自身が所有するブランド(FIAT、ABARTH、ALFA ROMEO、LANCIA)がこれまでに生産したクルマに対し、レストアの支援や各種フォローやサーティフィケーション(一種の血統書発行)、そしてそれらの販売などを行うというもの。

Heritage,FCA,FIAT

「Passione senza tempo」

これはイタリア語で「情熱に時間は関係ない」〜つまり、情熱に際限はないという意味なのですが、クルマを愛する人たちが作るメーカーの、クルマを愛する人たちへのメッセージと決意の表れなのでしょう。

 

ロベルト・ジョリート,Roberto Giolito

「積み上げてきた過去と歴史の上に我々は立ち、その先に未来があるんです。」

そう語ったのは、今回の新サービス「Heritage」のディレクターであるロベルト・ジョリート氏。FIAT500のデザイナーにして、元FIAT&ABARTHのデザインディレクターである彼のプレゼンテーションには、ひとかたならぬクルマに対する愛が溢れていました。

 

ABARTH 2400 COUPÉ ALLEMANO,ABARTH 2400 COUPE ALLEMANO

ステージには1964年、FIATのフラッグシップモデルとして登場したグランドツアラー、2100/2300Coupéをアバルトの手によるチューンナップと、カロッツェリア・アッレマーノのボディでまとめた「ABARTH 2400 COUPÉ ALLEMANO」が。創始者のカルロ・アバルト氏の日常のアシだったという。

 

今回のレトロモビルでは、FIATが誇る幻の名車にお目にかかることができました。

フィアット・オットヴー・ギア・スーペルソニック,FIAT 8V GHIA SUPERSONIC,スーペルソニック

FIAT 8V GHIA SUPERSONIC(フィアット・オットヴー・ギア・スーペルソニック)。

 

1953年にわずか15台しか作られなかったという、知る人ぞ知るFIATの名車8V(オットヴー)のスペシャルモデル「スーペルソニック」。

50年代初頭らしい通称“JET AGE”と呼ばれる流麗で洗練されたスタイリング、まさに「空飛ぶ〜」的なデザインと、瀟洒でモダンなインテリア(冒頭の写真が8Vのインテリア)に来場者たちは釘付け。

 

 

FIATといえば、500をはじめとする大衆車メーカーとして知られていますが、第二次世界大戦前までは、高級な仕立て服のようなクルマをメインとしており、第一回欧州グランプリにも名を連ねる1899年創業の老舗の名門。

 

戦後の方針転換から間もないタイミングのさなかに生まれた、かつての高級路線時代のFIATを彷彿とさせるこのクルマは、同じトリノを拠点とするカロッツェリアの名門、ギアの手によるもの。

内外装ともに美しいこのクルマは、大変価値が高く、現在も億単位の高値で取引される、文字通り「幻の名車」となっています。

 

そんなクルマがサラリと売られているレトロモビルは、さしずめお金持ちのための桁違いの蚤の市といえるかもしれません。ちなみに、そんな価格のクルマであっても初日にはすでに「SOLD OUT」の札が…。

 

 

「珍しいクルマ、高級なクルマだけがレトロモビルの魅力ではありません。パリという街で行われるこのイベントは、奥さんや恋人といった女性たちにとっても、一緒に行く意義があるイベントなんです…。」とは、イベント・オーガナイザーのメルシオン氏が教えてくれたレトロモビル成功の秘訣。

そうなんです。あのパリでクルマも歴史も買い物やグルメも楽しめてしまう、楽しいイベントがレトロモビル。

 

ヴィンテージカーをお買上げになるならないは別として、是非一度足を運んでいただきたいイベントです。