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[FIAT×MIJP Vol.13]日本の雅を表現した一位一刀彫りのシェルフ

「美」と「粋」を結集

日本の優れた伝統工芸品の産地を巡り、新たな光をあてるFIAT x MADE IN JAPAN PROJECT。2014年の開始以来、実現したコラボレーションの数は12作品にまで増えました。そこで今回は過去の作品を美しく陳列できるシェルフを製作することに。

 
 


シェルフを手がけてくださった木工作家の吉川和人さん。岐阜・関市の杉山製作所の工房にて。

 
 

シェルフづくりをプロデュースしていただいたのは、東京の工房を拠点に、木工製品の創作活動を行なっている吉川和人さん。さまざまな樹種に触れてきた経験を生かし、フィアットらしい遊び心を盛り込んだ作品に取り組んでいただきました。こうして完成したのが、岐阜は飛騨高山に伝わる一位一刀彫りと、岐阜・関市の金属加工の技術を組み合わせたオリジナルシェルフ。持ち運びの際には分解が可能で、それ自体も美しいシェルフにしていただきました。

 
 


完成した一位一刀彫りのシェルフ。美しい木目を生かした無塗装の棚板に、職人の手作業による雲のデザインがあしらわれています。

 
 

「日本の伝統工芸品を陳列するための棚ということで、日本の美を意識しました。日本では枯山水とか盆栽など自然が織りなす左右非対称のものに美意識を見出す風潮があります。そこで室町時代の内装様式である書院造の「違い棚」(棚板の高さを変えて段違いに取り付けた棚)に着想を得ました」と吉川氏。さらに棚という言葉が大和言葉の「たなびく」を語源とすることから、全体のフォルムで雲がたなびく様子を表現するというこだわりも。こうして日本古来の技術と美を持つシェルフの制作が着々と進められていきました。

 
 

一位一刀彫りの木彫刻職人の心が詰まったアート

 


写真左は、木彫刻職人の二代 小坂札之さん(左)とFCAジャパン マーケティング本部長のティツィアナ・アランプレセ(右)。写真右は雲の彫刻のデザインを詰めている様子。

 
 

木材は飛騨高山の樹木である「一位(イチイ)」を使用することに。高山の特産品である一位一刀彫りに使われる一位の木は、聖徳太子が手に持つ尺にも使われた、もっとも位が高い木というところから「一位」という名が付いたのだとか。伝統工芸としての一位一刀彫りは樹齢400年以上の貴重な一位の木材を使用しますが、今回のシェルフでは70年から100年程度の木材を使用し、これに一位一刀彫りに熟練した木彫刻職人の二代 小坂札之さんによる雲の彫刻がワンポイントとして彫られました。

 
 

刀匠の町、関市で金属フレームを製作

 


杉山製作所の工房の様子。金属加工の技術を生かし、家具製作のほか、自動車や航空部品なども手がけています。

 
 

一方、棚板を支えるフレームは、刀匠の町として有名な岐阜・関市にある杉山製作所が担当しました。棚板が雲のように宙に浮いているように見せるために、フレームは細い構造でしっかり強度を確保できる無垢の金属を使用。杉山製作所では、家具づくりにおいて日々、木や革など他の素材とも調和するデザインを心がけながら、鉄の可能性を追求しているそうです。今回のシェルフにもそうしたモノづくりの考えが生かされ、一位の棚板との調和が図られました。また無垢の鉄は表面が劣化してもメンテナンスができ長く使えることから、貴重な木材との組み合わせにも最適といえます。

 
 


一位の棚板の製材をしていただいた株式会社カネモクの森本社長(左)。吉川さんが全幅の信頼を置く製作所で、流通量の少ない木の調達から、長年のデータの蓄積を生かした乾燥技術を有し、高品質度な材料を供給しています。

 
 

こうしてフィアットの想いと岐阜のモノづくりの粋が詰まったシェルフが完成。塗装なしでも美しい一位の木目と雲をモチーフとした彫刻のアート、さらにマットな質感で棚板と調和した金属フレームが互いに融合し、モダンなフォルムを形成しています。まさに雲のようにやさしく、包容力のあるシェルフができあがりました。

 
 

 
 

観光気分を盛り上げてくれる「高山の古い街並み」

 


高山の古い街並みを走るPanda。コンパクトなボディのおかげで狭い道もスイスイ走れました。

 
 

古きよき時代の趣が残る高山の「古い街並み」。かつてここは、豊臣秀吉の将、金森長近(ながちか)が築いた高山城の城下町として栄え、6代・107年に渡る金森家の統治のもと、さまざまな武士や奉公人、職人や商人が集まりました。京都風の碁盤の目状に経済活動で盛えた街並みは今もその風情を残し、土産屋、蕎麦屋、地酒の店などが軒を連ねます。せんべいやまんじゅうの食べ歩きも楽しめます。古い街並みは広範に渡っており見応えは十分。1-2時間かけてゆったり散策したい場所です。近くに駐車場が数多くあるのも魅力。4月と10月にはユネスコ無形文化遺産にも指定された「高山祭の屋台行事」が開催され、さらに多くの人で賑わいます。

 
 

 
 

300年の時を超え江戸時代の役所の姿を今に伝える「高山陣屋」

 

 
 

1692年、第6代藩主・金森頼時(よりとき)が出羽之国上山(現・山形県)に移封となり、高山城は破却されました。以後、飛騨国は徳川幕府の直轄領となりました。そこで地域の行政、財政、警察などの政務を行なったのが、この「高山陣屋」。江戸時代のお役所です。当時、陣屋は全国に60数カ所あったとされますが、郡代陣屋と呼ばれる群単位の代官を務めた規模の大きなものは全国に4カ所(西国・美濃・飛騨・関東)しかなく、いまでも当時の役所の姿がそのままのかたちで残っているのは高山陣屋のみ。古い街並みの一角に位置するので、ぜひ立ち寄りたいスポットです。

 
 


左上:江戸時代の佇まいが残る高山陣屋の表門。10万石の格式をしのぶことができます。
右上:幾度かの修繕により、江戸時代の建物が再現されました。
左下:建物から望める中庭。往時の役人が和んだ様子を想像できます。
右下:書院造の大広間。かつて公式の会議や儀式に使用された場所です。

 

SHOP DATA

名称 国史跡 高山陣屋
住所 岐阜県高山市八軒町1-5
電話番号 0577-32-0643
開館時間 3月-10月/8:45-17:00(8月/8:45-18:00) 11月-2月/8:45-16:30
休館日 12月29日、31日、1月1日
入館料 430円
Webサイト http://www.pref.gifu.lg.jp/kyoiku/bunka/bunkazai/27212/

 

参考文献
高山陣屋図録 各務義章著 教育出版文化協会

 
 

選りすぐりの飛騨牛を個室でゆったり堪能「めぐみ家」

 

 
 

古い街並みを流れる宮川に面したロケーションで、最上級A5ランクの飛騨牛をはじめ、海や山の自然の恵を生かしたお料理を提供している季節料理のお店「めぐみ家」。地元の人からの人気が高く、そこから口コミで広がり、県外のリピーターになったお客さまも訪れる地元の人気店です。美味しいお料理を個室でゆったりと堪能できるので、古い街並みの観光ついでに訪れるにも好都合。座席に限りがあるので、事前のご予約をお忘れなく。

 
 


左上:A5飛騨牛の和風ロースト。表面を炙ってレアに近い状態でいただくので肉の旨味がそのまま味わえます。ご飯とお味噌汁、香のものがついたセットで2,600円。
右上:サラダ感覚で食べられるので女性に人気。お味噌汁とご飯と小鉢が付いて2,000円
左下:郷土料理の朴葉(ほおば)味噌に飛騨牛を乗せたお料理。肉とネギを絡めていただきます。1,600円。
右下:飛騨牛を軽く炙ってお寿司にした飛騨牛握り。3巻で1,000円。

 

SHOP DATA

店名 めぐみ家
住所 岐阜県高山市本町2-33
電話番号 0577-35-5657
営業時間 1:30-14:00/17:00-22:00
定休日 不定
Webサイト https://tabelog.com/gifu/A2104/A210401/21001732/

 
 

 
MIJPとは?

イタリアでは「アルチザン」、日本では「職人」と呼ばれ、 それぞれの優れた伝統文化とその技術を受け継ぐとともに、 日常の中で実際に使われ、愛される「ものづくり」に魂を込めている人々がいます。

イタリアの「ものづくり」文化を代表するFIATでは、 日本の文化ともっと交流し、もっとCuore(クオーレ:心)を通わせ合いたいとの想いから、 ひとつの特別なプロジェクトを立ち上げました。

それは、日本の「ものづくり」文化継承を目的にするNPO法人 「メイド・イン・ジャパン・プロジェクト」とのコラボレーションによって、 日本の優れた伝統工芸品に、新たな光をあてる活動です。

文化が出会い、心がつながり、笑顔を育んでいくこの取り組みに、 これからも、ぜひご注目ください。