fiat magazine ciao!
FIAT,エンブレム

FIAT、その歴史とエンブレムの変遷

自動車のエンブレムとその変遷には、その会社の歴史や様々な思い、当時の技術や流行の影響をうかがい知ることができます。

今回は、そんなFIATのエンブレムの変遷を皆様にご紹介します。

 

 

FIATとは1899年にイタリアのトリノという街で創立された、その名もずばり「トリノ・イタリア自動車工業」を意味するイタリア語「Fabbrica Italiana Automobile Torino」の頭文字をとったもの。

 

エマヌエーレ・カケラーノ伯爵が登記を行う模様

トリノ市内の本社そばにある「Centro Storico(チェントロ・ストリコ〜歴史の中心という意味)」という歴史アーカイブ&博物館ともいえる施設には、FIATの立ち上げの瞬間、発起人のエマヌエーレ・カケラーノ伯爵が、1899年の7月に登記を行う模様を描いた絵画が飾られている。

 

非常にストレートでシンプルな名前とお思いかもしれませんが、実はこの年の1月まで、人類は「自動車」という言葉を知りませんでした。というのも、文献上確認できる最古の「自動車(Automobile)」という表記が、アメリカのニューヨークタイムスに登場したのが1899年の1月。つまり、FIATが誕生するわずか半年前。

今で言うまさにイノベーションともいうべき、画期的な産業がイタリアに生まれた瞬間だったわけです。

 

 

今でこそ500やパンダなど、愛すべき欧州大衆車メーカーとして知られるFIATですが、当時の自動車はとびきりの高級品。FIATはれっきとした、イタリアを代表する最先端の高級車メーカーとしてその名を世界に轟かせていたのです。もちろん、現在のF1へとつながる、第一回の自動車グランプリにもFIATは参加しています。

 

やがて、世は大工業化時代に突入。FIATは自動車だけでなく航空機や船舶、鉄道など幅広い活躍を開始します。

 

チェントロ・ストリコ,トリノ,Centro storico

チェントロ・ストリコ内部の模様。NATO軍で使用されていた戦闘機や、はじめてアメリカに輸出したFIATたちを載せた船の模型なども飾られている。

 

 

さあ、そんな歴史ウンチクとともに歴代のエンブレムを見ていきましょう。

 

 

 

 

FIAT最初期のバッヂ,FIATバッヂ,FIATバッジ

1901年まで使用された最初期のバッヂ。社名がずばり書かれたもので、FIATという略記もない。エンブレムというよりレリーフといった趣に時代を感じる。

 

 

 

FIATバッヂ,FIATバッジ

その3年後、1904年まで使用されたバッヂ。ここではじめてロゴ的な意匠が生まれ、同時に頭文字表記のFIATと名乗ることとなる。すでにこの時点で現在につながるロゴフォントが生まれている。

 

FIATバッヂ,FIATバッジ

1921年まで使用されたもの。より図案化が進み。エンブレムとしての体をなしていく。アールデコ調のデザインが高級感を醸し出している。

 

FIATバッヂ,FIATバッジ

1929年から31年にかけて使用されたもの。同様の意匠に変更されたのが1921年からだが、1924年にFIATはMefistofele(通称・機械仕掛けの悪魔)というモデルで世界最速記録を叩き出している。月桂樹の葉がふさわしい当時の勢いを物語るエンブレム。戦後の復興を果たした60年代にもこの意匠は再び使用されることになる。

 

FIATバッヂ,FIATバッジ

1931年、32年にのみ存在するレアなエンブレム。シンプルだがエレガント。高級車路線から大衆車路線への変更への過渡期となるもの。

 

FIATバッヂ,FIATバッジ,初代500のエンブレム

戦中戦後、1938年から59年までのエンブレム。ハツカネズミの愛称で戦後イタリアの顔ともいえる大衆車となった初代500のエンブレムとして有名。

 

FIATバッヂ,FIATバッジ

29年型や38年型のエンブレムの復活やオマージュを経て、突如としてモダナイズされたエンブレム。この頃は、ランチア・アルファロメオ・フェラーリなど多くのブランドを擁するグループ企業の中核へと変遷。意匠としては最も長寿で、1968年から91年まで使用されていた。

 

 

FIATバッヂ,FIATバッジ

1999年には、再び上記の29年型を連想させるクラシックなスタイルに回帰したパターン。2006年まで使用された。

 

 

FIATバッヂ,FIATバッジ

2006年、記念すべきトリノ五輪で登場した現行エンブレム。

 

 

100年以上にもわたる歴史の中で、様々な変化を繰り返してきたFIATとそのエンブレム。

 

いかがでしょう? そのいずれの意匠にも、イタリアらしいデザインマインドが脈々と受け継がれています。

これぞヘリテージ。

FIATのポップさの中にあるシックさは、こうした歴史の上に成り立っているのです。