11月15日〜2月15日の3ヶ月間だけ狩猟解禁となる旬の「ジビエ」を求めて、信州蓼科高原のオーベルジュ・エスポワールへ。
旅の相棒は500X SPORT。高速道路でも安定した走行で疲れにくく、スポーティなハンドリング性能によりワインディングとの相性もばっちり。走る楽しさを呼び起こしてくれます。
オーベルジュ・エスポワールは、東京からクルマで3時間弱、自然豊かな信州蓼科にあります。日本でも有数のドライブルートであるビーナスラインにもほど近く、ゴルフ場やスキー場にもアクセス良好な別荘地です。
お出迎えいただいたのは、オーナーシェフの藤木徳彦さんと、支配人でソムリエの野村秀也さん。オーベルジュという愉しみ、そしてジビエ料理について、お二人にお聞きしました。
− まず、オーベルジュとは? ペンションと何が違うのでしょうか?
野村:ペンションは宿泊がメインで、宿泊された方に向けて食事を作ります。一方オーベルジュはレストランがメインで、さらに宿泊もできるという施設となります。
日本では80年代の後半にオーベルジュが初めて作られました。それでも1998年にエスポワールを始めたころは、まだオーベルジュというのはめずらしい存在でした。
− エスポワールをオープンしたきっかけは?
野村:オーナーシェフの藤木が修業時代にフランスの地方でオーベルジュを訪れ、そこでの体験に感動したことから始まりました。オープン当初から宿泊は3室。お客さまひとり一人にしっかりとしたサービスが行き届くことを大切にしています。
− レストランは宿泊をしなくても利用できるのですか?
野村:はい。日帰りの方や、近隣の施設に宿泊されている方も来られます。エスポワールは食事での滞在時間が長いのが特徴で、ディナーの場合はおおよそ3時間、長い方だとシガーなども含めて5時間ぐらい過ごされる方もいますね。
藤木:エスポワールはジビエを目当てに来られる方も多いのですが、ジビエは肉の味が濃いので、ワインがないとつらい(笑)。そういった意味でも泊まれるというのは重要ですね。
− クルマで訪れてもワインが飲めるというのは素晴らしいです。
野村:ワインには力を入れており、セラーは床下を利用して、自分たちの手で作り上げました。現在は約2,500本、記念日に来られる方も多いのでオールドヴィンテージも含めて幅広い銘柄と年代を取り揃えています。先日は1929年のワインを開けました。いま一番古いものだと1923年のものがあります。
− ガーデンには燻製小屋と石窯もありますね。
野村:燻製小屋は1,300mの標高による寒さや乾燥を利用して燻製作りをしたいということで、オープンと同時に建てられました。朝食には手作りベーコンやソーセージなどをお出ししています。
その隣には石窯があり、いろんな種類のパンを焼いたりお肉を焼いたりしています。暖かいシーズンになったらガーデンスペースも使えるので、そこで食前酒を召しあがって日が落ちるのを見てからディナーを愉しむといった過ごし方もできます。
− 藤木シェフは日本ジビエ振興協会の代表理事を務められているとのことですが、ジビエの魅力はどこにありますか?
藤木:やはり家畜にはない味わいですよね。
まずは仕留め方が大事で、たとえば今の時期だと猟銃でとることが多いのですが、猟銃の腕前によって味わいが変わってくるのです。料理を食べて「美味しい」となったときに、「こちらは鹿児島でさつまいもをたくさん食べて育ったイノシシで、地域でも腕利きの猟師がライフル一発で仕留めたものです」というお話しをすることで、お客さまにその料理をより深く知って、さらに楽しんでいただけるわけです。
また料理人としても、どこの誰がどういう仕留め方をしたのか、それをだれがどう処理したのかを知ることによって調理法を変えることができる。想像した肉質と調理法がピタッとはまって良い料理ができ、お客さまに喜んでいただけたときには、料理人冥利につきます。その嬉しさは家畜では感じられないですよね。
− 食材自体にストーリーがあるんですね。ただ、手に入る食材も予定どおりにはいかず大変ではないですか?
藤木:逆に手に入ったジビエをどうやって調理してやろうかと挑戦するところが、おもしろかったりします。
仕入れに関しては産地との信頼関係が重要です。特に猟師は年輩の方が多く、携帯電話を持っていても出ないという感じなので、実際にお会いしてコミュニケーションをとっています。そこで気に入っていただけると、ほんとうに特級のものをいただけるようになるんですね。そういったものをお客さまにお出しすると、より一層感動してくださるんですよね。そしてそんな食材を調理するときは、僕もすごくテンションが上がります(笑)。
− ジビエは日本各地から?
藤木:エスポワールをスタートしたときには信州に限っていましたが、現在は日本ジビエ振興協会もやっているので時期によって産地を変えています。
− ジビエには解禁日がありますよね?
藤木:本来は11月15日〜2月15日が狩猟期なのですが、いまは1年中とられているんですよ。鹿やイノシシが増えているので、国の政策としてどんどん獲って食べましょうと推進されているんですね。
− なるほど。ジビエには美味しいという面だけでなく、獣害対策という面もありますよね。
藤木:いまはジビエを出すお店が増えています。ジビエ振興の政策や、SDGsへの関心の高まりが相まって、ジビエへの注目が拡がっているように感じますね。
− あとジビエといえば臭いイメージもあるのですが…実際はどうですか?
藤木:昔のフランスでは獲った鴨や雉などの野鳥を吊るして、首が自然に落ちたら食べ頃というのがジビエの楽しみ方だったそうです。それが熟成だといわれていたのですが、いやそれは腐敗だろうと(笑)。お客さまでもジビエを食べることは格闘だというイメージをお持ちの方も多いです。
他に、地方では猟師からお裾分けでジビエをいただくこともあるとおもうのですが、血抜きが不十分なものや傷みかけているものを食べて「固くて臭い」というイメージを持っていらっしゃる方もいます。そういうこともあって、いまエスポワールで鮮度の良いジビエを食べていただくと「こんなに食べやすいの」と驚かれますね。
地域の食材を、フランスのクラシックな調理法で仕上げる藤木シェフの料理。今回はジビエを使った3品を作っていただきました。
「国産ジビエのパテアンクルートと信州野菜、シャルキュトリーの盛り合わせ」
フランスのクラシックな前菜、パテアンクルート。真鴨に豚を少し加え、ドライフルーツ、ナッツ、フォアグラを入れています。地域でとれたドライ野菜やフルーツ、真鴨のレバーペーストや鹿のサラミソーセージなど自家製のシャルキュトリー(お肉の加工品)を盛り合わせたオードブルは、エスポワールで定番のひと品です。
「皮付き猪バラ肉のシャルドネ煮込み カルダモンの香り」
大分でとれたイノシシの皮付きのバラ肉を、じっくり柔らかく煮込んだ料理です。なぜ九州産かといえば、皮を楽しんでいただきたいから。本州では皮をとってから出荷するところが多いのですが、九州や沖縄は皮付きで出荷できるのです。
こちらの猪はシェフが現地で食べて、その味に感激したことから取り寄せたもの。白ワインで煮込んでいますが、和食でいえば角煮が近いかもしれません。ほおずきと柿を添えて、お肉の下には猪が大好きで食べていたであろう長芋を敷いています。
「国産ジビエのパイ包み ジビエの赤ワインソース」
比較的重たい料理なので、たっぷりの生野菜を付け合わせに。お肉はアナグマ、ツキノワグマ、鹿、野鳥のレバー、フォワグラをミックスして、パイで包んで焼きあげたものです。ナイフを跳ね返すような筋肉質な食感は、山の中を自由に駆け回っているジビエならでは。特にツキノワグマはミンチにした状態でもすごい弾力で、個性があります。パイ生地は野性味を和らげてくれる効果もあり、パイの香ばしい香りと肉の旨味を存分に楽しめます。
ソースは鹿や野鳥の骨を赤ワインで煮込んだもの。そこにアンズタケという茸を加えています。塩は使わず、ジビエの濃厚な旨味だけをいかしています。
ジビエを中心とした地域の食材をワインとともに味わい、食後には食後酒やシガーとともにゆったりと贅沢な時間を過ごし、そのままお部屋で星を眺めながら横になる。心まで満たしてくれるオーベルジュという大人の愉しみ。ジビエが旬のこの機会にぜひ体験してみてはいかがでしょうか。
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【取材協力】
オーベルジュ・エスポワール
長野県茅野市北山蓼科中央高原
Tel & Fax 0266-67-4250
営業時間 12:00〜13:30(L.O.) 17:45〜19:00(L.O.)
定休日 木曜日(8月は無休)
オーベルジュ・エスポワール公式サイト
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