3月22日、東京アメリカンクラブで「アジア女子大学 第9回ファンドレイジングイベント」が開催されました。アジア女子大学とその教育活動を支援するグループFriends of AUW Japanの共催で行われたこのイベントは、アジアの教育環境に恵まれない優秀な女性に教育を提供するサポートプログラムの一環として行われました。会場ではアジア女子大学の活動報告やライブオークションが実施され、その収益金から学生たちへの奨学金が実現しました。
アジア女子大学は、2008年にバングラディッシュ・チッタゴンに設立された国際大学。南アジアや東南アジアで不平等な待遇を受けている優秀な女性たちに高等教育を提供し、地域社会のリーダーを育てあげることを目標に掲げています。出願者の選定では、大学卒業者がいない家庭の子女を優先しているのが特徴。現在は15カ国から700名以上の学生が通っており、奨学生(全額奨学金)の比率は98%にも達します。
フィアットは、ファンドレイジングイベントのサポートのほか、Share with FIAT を通じ、これまでにアジア女子大学の生徒への支援などを行ってきました。
活動報告の冒頭では、武田薬品工業との連携により、アジア女子大学内で初となる「寄付基金教授職(Endowed Chair)」が2017年10月に設置されたことが発表されました。これは武田薬品工業からの寄付により大学が教授職を設置するもの。設置されたのは公衆衛生学で、バングラディッシュをはじめ途上国における公衆衛星の改善や次世代リーダーの創出が期待されています。
また、アジア女子大学のニルラマ・ラオ副学長、およびソンジュグループ創立者でMCMホールディングスAG会長の金聖珠(キム・ソンジュ)会長がスペシャルゲストとして登壇し、それぞれプレゼンテーションを行ないました。
ニルラマ・ラオ副学長は向こう10年のビジョンにおいて、教育プログラムの充実や生徒数の増加を掲げ、2026年までに生徒数を3000人規模にまで増やすとする計画を述べました。また5000人のキャパシティを持つ新キャンパス構想についても触れました。
一方、キム・ソンジュ会長は女性リーダーの立場から、女性のエンパワメントに対する見解を披露しました。同氏は2012年に「Forbes アジア ビシネスウーマン」のトップ50に選ばれています。
「我が社は、世界40カ国にビシネスを展開しており、従業員の国籍はさまざま。それぞれ文化や働き方などのバックグラウンドが異なる人たちと共に仕事をしています。女性はそうした多様化した環境下で優れた順応力を発揮します。我が社でもグローバルで活躍するスタッフの80%を女性が占めています」と述べ、女性にエールを送りました。さらにアジア女子大学に対し、20万USドルの奨学金の提供を発表し、会場から大きな拍手が湧き起こりました。
ライブオークションでは、協力企業が商品およびサービスを提供し、会場で競売が繰り広げられました。学生支援を目的としたオークションの参加者および支援企業により、アジア女子大学のたくさんの生徒たちの学費や教材費、保険費に充当する支援が実現しました。
オークション後の懇親会でニルラマ・ラオ副学長に女性のエンパワメントについて意見を求めると、彼女は次のように答えてくれました。
「これからの時代は、女性にもサイエンス&テクノロジーの分野に積極的に参加してもらいたいと考えます。アジア地域ではこの分野への女性の参画が少なく、遅れをとってしまっています。今後は、たとえばバイオインフォマティクス(生命情報科学)などの分野において、女性のさらなる活躍を期待します」
これを受けて、FCAジャパン マーケティング本部長 ティツィアナ・アランプレセは、「日本では女性の高等教育の機会が充実しているにもかかわらず、せっかく教育を受けた女性の経験や能力が社会で存分に活躍していません。これはとてももったいないことです。アジア女子大学の生徒さんのように、もっと強いエネルギーを持って、社会でその力を発揮してもらいたいですね」と期待を口にしました。
写真 小林俊樹
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