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[FIAT×MIJP Vol.16]岐阜和傘と、長良川がつなぐ流域文化を探訪

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文=曽宮岳大 写真=荒川正幸


現代にこそ光る和傘の魅力


美濃和紙や関の刀鍛冶、一位一刀彫り、鵜飼、郡上踊りなど、全国的に知られるたくさんの伝統工芸や文化・慣習を生み出している岐阜。その大地で人びとの生活に寄り添うように、自然の恵みをもたらしているのが長良川。全長166kmの清流は、郡上市、美濃市、関市、岐阜市などを通り、流域の人びとをつなぎながら、ものづくりや食文化を発展させてきました。今回訪れる川原町は長良川最大の湊町で、流域の資源が集まる場所。いまここで地元の人たちが手をつなぎ、岐阜の魅力を発信しようと注力しています。フィアットとメイド・イン・ジャパン・プロジェクトが手を組み、日本の優れた工芸品に光をあてるプロジェクトの第14弾では、岐阜和傘をフィーチャー。さらに、長良川が生んだ地元の文化やその楽しみに迫ります。


美濃和紙をはじめ、それを原料に作られるうちわや和傘の生産、活版印刷、さらに鮎漁、鵜飼と、さまざまな地域産業を結ぶ長良川。


美濃和紙や傘の骨格をなす竹、竹の骨を束ねるロクロの材料となるエゴノキ、そしてそれらの原料を湊町へと運ぶ水運と、長良川流域の資源を結集して作られる岐阜和傘。岐阜は全国一位の生産量を誇る和傘の産地で、今なお繊細で優美な作品を手づくりで生み続けています。今回FIATオリジナル和傘を製作していただいたのは、その伝統工芸の担い手のひとりとして活躍されている、和傘職人の田中美紀さん。


和傘職人の田中美紀さん。


「和傘は閉じると和紙が内側に折り畳まれるので、閉じている時と開いた時とで表情が大きく異なります。傘をパッと開いたときに見せる華やかな表情はとても美しく、多くの人を魅了します。私自身、初めて見たときに、その美しさに衝撃を受けて、その感動がこの世界へと飛び込むきっかけにもなりました」と和傘の美しさについて話してくれた田中さん。


和傘の製造工程は、材料である竹の骨と、ろくろと呼ばれる骨をつなぐ作業に始まり、和紙を貼り、油をひき、仕上げをします。田中さんはこれらの作業をひとりでされています。


素敵な模様と清楚な佇まいは和傘ならではの魅力。でも気になるのはその使い勝手。何か特別なメンテナンスは必要なのでしょうか。 「使った後にかならず干していただく。あとは持ち歩くときや置くときは、持ち手を下にしていただきます。また非常に高温になる夏場の車内には置くのは避けてください。これらいくつかの注意点さえ守っていただければ、特に難しいことはありません。美濃和紙などの丈夫な和紙を使用していますし、大切に扱っていただければ長くご愛用いただけます。和傘には一般的な雨傘のようにワンタッチで開く気軽さはなく、傘を開くためには一度立ち止まり、柄の部分に手を差し込んで開いてやる必要があります。ですがその手を差し込むという動作や、日々の忙しさのなかで一旦立ち止まる時間を与えてくれるということが、私はとても素敵だと思っています。そうして手間をかけてあげることは、ものに対する愛着にもつながると思います」と、現代にこそ光る和傘の魅力を教えてくれました。


傘職人の田中美紀さん(左)とFCAジャパン マーケティング本部長のティツィアナ・アランプレセ(右)。「和傘は飾るためではなく、日常でどんどん使っていただけるものですので、ぜひお試しください。きっと気に入り、長く愛用いただけると思います」と田中さん。

「多少の不便があっても、それを補って余る魅力ある和傘を作ろう、という気持ちをいつも念頭に置いています」と田中さん。耐久性へのこだわりから和紙をはじめとする材料にこだわり、一本一本丁寧に仕上げていきます。田中さん自身、過去には新しい和傘づくりに挑戦しようと“冒険”を試みたことはあったようですが、色々試した末に、昔ながらの作り方がベストだという終着点に行き着いたのだとか。ローマは一日にしてならず。人の心を打つその独特の風情や美しさは、長く受け継がれ、今なお丁寧に時間をかけて作られる和傘の証なのです。



FIATオリジナル和傘の完成披露会


FIATオリジナル和傘の完成を記念したお披露目イベントが川原町のイタリアンレストラン「La Luna Piena(ラ・ルーナ ピエーナ)」で行われました。イベントには、岐阜市まちづくりサポートセンターの事務局長で、かつて岐阜市歴史博物館の館長だったご経歴から和傘に造詣の深い薮下 浩さん、長良川流域をつなぐ観光まちづくりに励まれているNPO法人ORGAN理事長の蒲 勇介さん、傘職人の田中美紀さん、FCAジャパン マーケティング本部長ティツィアナ・アランプレセの4名によるトークショーが行われました。


左からNPO法人ORGAN理事長の蒲 勇介さん、岐阜市まちづくりサポートセンター事務局長の薮下 浩さん、和傘職人の田中さん、FCAジャパンのアランプレセ。


蒲さんは「海外のお客さまを含む観光客の方がこの街で和傘に出会い、感動して買われていく姿を見たり、今回フィアットに和傘の美しさ、素晴らしさを認めていただけたりすると、岐阜和傘は世界に誇れる製品であると改めて自信を持つことができました。これからも継続的に発信していきたいです」と意気込みを述べられました。薮下さんは「和傘は年間1000万本程度が生産されていた昭和23-25年をピークに、昭和30年には洋傘に流通量が抜かれ、その後衰退の一途を辿ってきました。しかしそうしたなかで、最近は若い女性を中心に和傘への興味が増えています。和傘生産に携わる女性も増加しており、若い世代の支持を集めているという現実があります」と話されました。


完成したFIATオリジナル和傘を紹介する田中さん。トリコローレに仕上げられたオリジナル傘について「どんよりした空の下でも鮮やかに見えるで、雨の日でも楽しくさしていただけると思います」とコメント。


和傘職人の田中さんは「今回、FIATオリジナル和傘を製作させていただき、これまでに挑戦したことのないイタリアを象徴するトリコローレの傘が仕上がりました。とても斬新な色で、自分で作ったものではありますが、とても素敵だと思います」。とコメント。それを受けてアランプレセが完成したFIATオリジナル和傘を披露すると、観客席から大きな拍手が起こりました。トークショーに参加されたオーディエンスの皆さんからは「和傘の理解を深めることができました」「FIAT和傘、素敵でした」などの声を頂戴しました。


登壇者の皆さまとFIAT 500の前で記念撮影


素敵なマイ和傘を作ろう 和傘づくりワークショップ


和傘づくりワークショップでは、「糸かがり」と呼ばれる工程にトライ。和傘の内側を美しく見せるとともに、骨組みを補強する役割もあります。


川原町の古い町並みの一角にある「長良川てしごと町家CASA」では、傘職人さんの手ほどきを受けながら、マイ和傘づくりに挑戦できます。参加者が行う工程は、傘の内側の竹骨の穴に色のついた糸を通して、幾何学の模様づけをする「糸かがり」と呼ばれる作業。あらかじめ傘の柄を決め、職人さんと作業日程を調整のうえ、傘づくりを行います。出来上がった傘はその日に持ち帰りが可能。美しいマイ和傘とともに素敵な思い出を作ってみては? 作業時間は4時間半ほど。予約は20日前までに。詳細は下記Webサイトをご参照ください。


長良川てしごと町家CASA。和傘づくりの体験のほか、活版印刷や提灯の絵づけなど、川原町のものづくりの文化に触れることができます。ちなみにイタリア語で「家」を意味する「CASA」というショップ名には、長良川流域の工芸や文化をひとつ屋根の下に集め、新たな団欒をつくりたいという想いが込められているそうです。

 

SHOP DATA

名称長良川てしごと町家 CASA
住所岐阜県岐阜市湊町29
電話番号090-8335-9759
営業時間11:00~18:00
定休日火・水曜日
Webサイトhttps://www.teshigoto.casa/

 

川船に乗って天然あゆに出会う漁船ツアー ゆいのふね

海から上がってくる天然鮎を、地域固有の漁船で捕る鮎漁は、ここでしか味わえない体験。

 

川漁師さんの案内で、長良川の船上体験を。地元の漁で普段使われている漁船に乗って、網を使った鮎漁を間近で見せてくれる「ゆいのふね」。流域をまたいで成長する天然鮎漁をはじめとする、季節の漁を川漁師さんと一緒に体験します。川漁師の平工(ひらく)顕太郎さんによると「水位・天候などから19の漁法を使い分けて、鮎を捉えます。風光明媚なところなので、自然を感じながらの漁はとても楽しいですよ」。所要時間は120分で、10時出発便と13時出発便があり。長良川流域の文化や伝統を肌で感じられる貴重な体験をぜひ。料金は鮎の塩焼き付きで大人8,500円(税別・休日は500円高)。他に、鵜飼直前の16時からの90分ツアー「鵜飼ガイドツアー」(大人5,000円税別・休日は500円高)も。

 

 

SHOP DATA

名称ゆいのふね「ながら川店」
住所岐阜県岐阜市長良45-1
電話番号080-8256-4295(完全予約制)
Webサイトhttps://www.yuinofune.net/

 

産地の食材を使った本格イタリアン ラ・ルーナ ピエーナ

ラ・ルーナ ピエーナと入り口(左)とシェフの久保澤 学さん(右)。

イタリアで2年半修行を積まれたシェフの久保澤 学さんが振る舞う、本格的な南イタリア料理を楽しめるレストラン。地元のリピーターと観光客に愛され、2019年6月に創業16周年を迎えました。久保澤シェフが提唱するコンセプトは、“岐阜イタリアン”。「南イタリアというと、素材を柑橘やオリーブオイルでシンプルに仕上げた、素材を生かす料理というイメージですが、それを岐阜の食材を使って実現しています。岐阜は海こそありませんが、揃わないものがないぐらいの食の宝庫です。地元の新鮮な素材を使ったお料理をご賞味ください」。視覚、嗅覚、味覚を動員して楽しめる久保澤シェフの“岐阜イタリアン”。写真はランチの「ルーナコース」。前菜、パスタ、メイン、デザート込みで2,900円。


右上:そら豆のピューレと、イイダコのトマト煮込みのパスタ。南イタリアの郷土料理を日本の食材を使ってシェフがアレンジ。右下:岐阜の季節のお野菜と地元で養殖している飛騨サーモンを使ったテリーヌ。ブロッコリのソースをあわせた素材重視の味わい。左下:メインはハンガリーで国宝にも指定されているマンガリッツァ豚。柔らかくて美味しい逸品。左上:岐阜県産のフレッシュいちごと同素材のシャーベット。ほうれん草を使った緑のクッキーとザバイオーネで春らしく演出。

SHOP DATA

名称ラ・ルーナ ピエーナ
住所岐阜県岐阜市玉井町21-1
電話番号058-265-4881
営業時間11:30-13:30(LO)17:30-20:00(LO)
定休日火・水曜日
Webサイトhttp://www.e-restaurant.jp/luna/

 

岐阜市の夜景が一望できる 金華山ドライブウェイ

 

コンパクトカーで走るのが気持ちいいワインディングロード。所どころ道幅が狭いところもありましたが、FIAT 500ではスイスイ走ることができました。

川原町の古い町並みから15分程度(約6km)で麓にたどり着ける、全長4.6kmのドライブウェイ。岐阜公園側からと岩戸森林公園側からアクセスが可能。展望台からは岐阜の街を一望でき、夜景も楽しむことができます。通行可能時間は7:00~22:30。通行料は無料。安全運転でドライブを楽しんで!


展望台から望む岐阜市の夜景。

SHOP DATA

名称金華山ドライブウェイ
住所岐阜県岐阜市上加納山
営業時間7:00~21:00

 


MIJPとは?

イタリアでは「アルチザン」、日本では「職人」と呼ばれ、
それぞれの優れた伝統文化とその技術を受け継ぐとともに、 日常の中で実際に使われ、愛される「ものづくり」に魂を込めている人々がいます。

イタリアの「ものづくり」文化を代表するFIATでは、 日本の文化ともっと交流し、もっとCuore(クオーレ:心)を通わせ合いたいとの想いから、
ひとつの特別なプロジェクトを立ち上げました。

それは、日本の「ものづくり」文化継承を目的にするNPO法人 「メイド・イン・ジャパン・プロジェクト」とのコラボレーションによって、 日本の優れた伝統工芸品に、新たな光をあてる活動です。

文化が出会い、心がつながり、笑顔を育んでいくこの取り組みに、
これからも、ぜひご注目ください。

MIJP 詳しくはコチラ

 

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