日本の優れた伝統工芸や文化に光をあて、その魅力を再考しながら、地域のモノづくりと人々の心に迫る「FIAT×MADE IN JAPAN PROJECT(フィアット×メイド・イン・ジャパン・プロジェクト)」。番外編となる今回は、フィアットが新潟県・燕市とのコラボで展開する田んぼアート、「FIAT Agri Art Project(フィアット アグリ アート プロジェクト)」の取り組みをご紹介します。
絵画のように見えますが、これは田んぼアートを上空から撮影したもの。色とりどりの稲が美しいこちらの作品は、燕市が平成29年に手がけた「大河津分水可動堰とツバメ」。
皆さんは田んぼアートをご存じですか?田んぼアートとは、田んぼを大きなキャンバスに見立てて、そこに色の異なる苗を植え、色とりどりの稲で作り上げる自然のアートです。燕市では早くから田んぼアートに取り組んでいて、市やJA(農業協同組合)などで構成される燕市景観作物推進協議会では15年前からシーズンごとに異なるテーマや絵柄の田んぼアートを展開。日本の主食である大切なお米を、地域の皆さまと共に育てる活動を通じて、農業の理解促進と地域の活性化を図っています。
モビリティの持続的な発展を目指すフィアットも、燕市のこのステキな取り組みに賛同。「フィアット×メイド・イン・ジャパン・プロジェクト」では、これまで日本各地の伝統工芸の職人さんとコラボしオリジナルの工芸品を製作してきましたが、今回は工芸品ではなく、「食」と「文化」と「デザイン」が融合したアートを手がけます。完成までの行方をぜひ見届けてください。
燕市役所の目の前に広がる美しい田園。ここを舞台に田んぼアートを展開します。
「フィアット アグリ アート プロジェクト」の幕開けとなるセレモニーが2021年5月22日(土)、燕市役所とその目の前に広がる稲田を舞台に行われました。会場には、市の関係者の皆さまをはじめ、フィアット新潟ならびにそのお客さま、田植えボランティアの方々、そしてFCAジャパン関係者らが参加。目の前に広がる広大な水田に、色とりどりの稲が育つ姿に期待を膨らませました。
たくさんのフィアットオーナーさまが田植えのお手伝いに駆けつけてくれました。
セレモニーに登壇したFCAジャパン株式会社 マーケティング本部長 ティツィアナ・アランプレセは、「フィアットが誕生したトリノが位置するピエモンテ州でもお米の生産は盛んです」とイタリアの食文化を紹介。さらに「コロナ禍にあるこんな時代だからこそ、自分たちにとって大切な文化や育った環境、そしてモノづくりに励む人々の心、イタリアと日本に共通する文化など、大切なものを想う気持ちを大事にしたいと思います。今回イタリアと日本、トリノと新潟が同じ場所でひとつの心で繋がることをうれしく思います」とごあいさつ。
FCAジャパン株式会社 マーケティング本部長 ティツィアナ・アランプレセ。
続いて、燕市の産業振興部長の遠藤一真さんが登壇し、燕市の産業や農業の取り組み、田んぼアートの醍醐味について話してくださいました。
「燕市で稲作が大きく発展したのは、今から約100年前、頻繁に氾濫していた信濃川を分岐させ、人工の川として日本海へ流し出す大河津分水路が作られました。以来、この地域は肥沃な土地として栄えるようになりました。今回皆さまが取り組まれる田んぼアートでは、田植えをした苗が日一日と色づき始め、成長と共に色々な表情を見せてくれます」と述べ、田植えや収穫時だけでなく、成長の過程も楽しめる活動であることを紹介してくださいました。
燕市の産業振興部長の遠藤一真さん。
さて、セレモニーの後にいよいよ田植えをスタート。「フィアット アグリ アート プロジェクト」では、約45アール(4500平方メートル)の水田に色とりどりの苗を植え、大きな1枚のアートを作り上げます。使用する苗は緑、赤、黄色、白、ピンク、紫の6色。もちろんすべて天然の色で、緑の苗以外は古代米と呼ばれる品種。各稲を植えるポイントは予め測量士さんが図面を元に決めてくれていて、土の上に目印が打ってあります。その決められたエリアに苗を植えていきました。
長靴を履き、田んぼに足を踏み入れる体験はとても新鮮。ズボッ、ズボッっと音をたてながら、苗をひとつずつ植えていきます。
6色の苗(左)。ティツィアナ・アランプレセも皆さまと一緒に田植えに参加(右)。
田植えに参加された方に感想を伺ってみました。「Panda Cross 4×4(パンダ クロス フォーバイフォー)」に乗って参加された藤田さんファミリーは、フィアット新潟ショールームの担当者からのお声がけを機に、ご夫婦とお嬢さんの3名で参加。旦那さんは「思ったより大変でした。明日腰が痛くなりそうです」と笑顔でコメント。奥さまも「田んぼの中ではなかなか足が抜けなくて大変でしたが、楽しかったです」と話してくれました。お嬢さんは、「田植えは2回目ですけど、久々に田んぼに触れることができて楽しかったです。収穫が楽しみです」と話してくれました。
黄色いパンダ クロス フォーバイフォーでお越しくださった藤田さんファミリー。
フィアット新潟の長谷川社長もお客さまと一緒に田植えに参加。その感想を次のように話してくれました。
「田植えは初めてだったのでとても新鮮で、いつのまにか1時間半も集中してやっていました。新潟に住んでいてもお客さまで田植え経験のある方は2人しかいなくて、ほとんどの方が初体験。皆さん楽しまれていたようで、収穫の時も来てくれると言ってくれました」とうれしそうに話してくださいました。
フィアット新潟の長谷川社長は、ショールームでもスタッフの方と一緒にトマトなどのイタリア野菜を育てているそう。実がなったら皆で食べようと計画しているそうです。
こうして「フィアット アグリ アート プロジェクト」では、田植え体験を通じて、作物を育てる農業の楽しさに触れることができましたが、そこで改めて感じたのは、自然の大切さ。この美しい自然と共に生活を営んでいくには、ヒトと自然が共存していく、サステナブルな社会の実現が必須。今回、「フィアット アグリ アート プロジェクト」に協力くださった燕市の鈴木力市長がインタビューに応じてくださったので、持続可能な社会を目指す取り組みについて意見交換を行いました。
燕市の鈴木力市長(右)とティツィアナ・アランプレセ(左)が対談。
燕市で持続可能な社会の実現に向けて行っている取り組みについて教えていただけますか。
鈴木市長「燕市では、再生可能エネルギーの普及を目指し、学校などの公共施設の屋根に太陽光パネルの設置を進めています。また廃棄物処理で使用した埋立地にメガソーラーの誘致を行っているほか、企業の工場の屋根にも太陽光パネルの設置を促す取り組みを行っていて、得られた収益の一部を燕市の子どもたちの英語教育に役立てています。我々はこれを“燕子ども応援おひさまプロジェクト”と呼んでいるのですが、毎年、英語のスピーチコンテストを実施し、優秀な成績を収めた代表者12人を親善大使として海外に派遣しています。太陽光パネルで得た収益は、その旅費に充てています。また民間企業から空き缶を回収し、リサイクル業者に販売する収益を保育園の絵本購入に充てるプロジェクトを行っているほか、モビリティ分野では、電気自動車を公用車として採用した実績があります。今後、電気自動車が普及していけば、道の駅や市役所に急速充電器を設置することも検討していきたいと思っています」
今回、田んぼアートをフィアットと一緒に展開することについてコメントをお願いします。
鈴木市長「田んぼアートは、これまで市民の皆さまを対象に、故郷の良さを再認識してもらい、農業に触れる機会を持ってもらいたいという思いで続けてきましたが、今回フィアットと一緒にやることで、田んぼアートを燕市にとどまらず、世界に発信できる機会となることをうれしく思います。これから稲の成長に合わせて色づいてきます。ぜひその成長を一緒に見守っていただきたいと思います。またその際には燕市の魅力やその産業に触れ、その魅力に触れていただければと思います」
「フィアット×メイド・イン・ジャパン・プロジェクト」の新しい取り組み「フィアット アグリ アート プロジェクト」では、参加していただいたみなさんに、田植えを通じて作物を育てる農業の楽しさを体感していただくとともに、サステナブルな社会の重要性を実感していただくことができました。
私たち人間が、美しい自然と共に生活を営んでいくには、サステナブルな社会の実現が重要となります。フィアットでは、サステナブルな社会の実現と、世界中の人々がより幸せな毎日を送れるよう、今後も様々なプロジェクトに取り組んでいきます。
今回製作しているフィアットの田んぼアートは、燕市役所4階のスカイラウンジから見ることができます。
なお、フィアット公式ホームページ内の特設ページにて、田んぼアートの成長の様子を随時動画で更新中。苗がどのように成長し、どんな絵が完成するのか。みなさんで、田んぼアートの成長を見守りましょう。
燕市役所4階のスカイラウンジ(左)。田植えが終わった段階の田んぼアート(右)
写真 荒川正幸
「FIAT×MADE IN JAPAN PROJECT(フィアット×メイド・イン・ジャパン・プロジェクト)」とは?
イタリアでは「アルチザン」、日本では「職人」と呼ばれ、
それぞれの優れた伝統文化とその技術を受け継ぐとともに、日常の中で実際に使われ、愛される「ものづくり」に魂を込めている人々がいます。
イタリアの「ものづくり」文化を代表するフィアットでは、日本の文化ともっと交流し、もっとCuore(クオーレ:心)を通わせ合いたいとの想いから、ひとつの特別なプロジェクトを立ち上げました。
それは、日本の「ものづくり」文化継承を目的にするNPO法人「メイド・イン・ジャパン・プロジェクト」とのコラボレーションによって、日本の優れた伝統工芸品に、新たな光をあてる活動です。
文化が出会い、心がつながり、笑顔を育んでいくこの取り組みに、これからも、ぜひご注目ください。
FIAT×MADE IN JAPAN PROJECTの詳しい活動内容はコチラ
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