鈴木さんご家族から“パンナちゃん”と呼ばれ愛され続けている『500 Panna(チンクエチェント パンナ)』。2014年に購入し、奥さまの佐和子(さわこ)さんのクルマとして活躍してきましたが、長女の万佑子(まゆこ)さんが免許を取得したのを機に一旦お譲りになるそうです。そして鈴木丈生(すずき・たけお)さんの想いは次女の桃子(ももこ)さんにも「このクルマに乗ってほしい」とのこと。そこには鈴木さんご家族のきずなが500 Pannaを通して見え隠れしていました。なお、奥さまは主にコメントでのご登場となります。
鈴木さんは宇都宮市で建設業を営む傍ら、ヒストリックカー関連のイベントにも出場し、さらにはつい先日までクルマ好きが集まるミーティングを十年以上に渡って主宰してきたエンスージアスト(熱心なカーファン)。そんな鈴木家に『500 Panna(チンクエチェント パンナ)』がやってきた理由は、それまで奥さまが納得できるようなクルマがなかったからだそうです。
▲鈴木丈生さん
「少し古めのスポーツハッチバックや大型のワゴン、そして軽自動車にも乗ってもらいましたが、色々物足りない点があったようです」と鈴木さん。どうやら、その選択の多くは鈴木さんが乗りたい、もしくはファミリーユース優先と思ったクルマだった模様。そこで改めて奥さまに気に入ってもらえる専用のクルマを考えられたそうです。
ちょうど相前後して「『NUOVA 500(ヌォーヴァ チンクエチェント)』をモチーフにした新しい500が出るという話を聞いていました。NUOVA 500も好きでしたので、興味はありました」そして『500(チンクエチェント)』が2008年に日本でデビュー。街で見かけるようになると「やっぱり可愛いなと思いましたし、フェミニンでお洒落なイメージもありますので、妻に乗ってもらいたいなとは思っていました」しかし、購入のタイミングが合わずしばらくは鈴木さんの心の中にその気持ちをしまっていたそうです。そして今回購入した限定車、500 Pannaが登場します。
「僕が好きなクルマばかり乗っていますから、罪滅ぼしの気持ちもあり、妻にも好きなものに乗ってもらった方がいいんじゃないかとずっと思ってはいたんですね。そこで、見に行ってこの色いいな、やっぱりいいなと」
▲500 Panna
実はこのカラー、鈴木さんのヒストリックセダンと近いカラーだったのですが、それをディーラーの営業さんに指摘されるまで気づかなかったそうです。「そう言われるまで忘れていたぐらい、クルマに似合っていたんですね。なので、2日くらい考えて買うことにしました」
“Panna”とはイタリア語で“生クリーム”の意で、それをイメージしたかのような『ニューエイジクリーム』というボディカラーは薄いベージュのような印象です。「ちょうどクルマのレトロな雰囲気に、このベージュがぴったり合う感じです。普段乗っても変に目立ちませんし、おしゃれな感じに見えるでしょう」と、元々ベージュ好きな鈴木さんにとって、ぴったりなカラーだったようです。
一方、奥さまはどう思っていたのでしょう。今回も鈴木さんの乗りたいクルマだったのでは。
「そんなことはないですよ。もともと500は好きで頭の中にありました。やっぱりクルマの形や雰囲気から可愛いと感じるんですよね。デザイン性が高いと思います。特に500 Pannaは色が決め手です。あの形にこの色がもうドンピシャ。すごく可愛いですよね。実際に見に行ったら、内装も可愛いらしくて。そのうえシートが『Poltrona Frau(ポルトローナ・フラウ)』ですので『ああ、これは素敵!』と思って決めました」と、試乗してみる前にすでに心の中で購入を決めていたようです。奥さまは「この空間にいたいと思わせるクルマだったんです」とその時の感想を教えてくれました。
そのデザインについては長女の万佑子さんも「特に内装は結構シンプルで、最近のミニマリズム的な冷たさではなく、温かくて柔らかい感じがして、癒しがあって可愛いですね」とのこと。
次女の桃子さんは「クルマ全体が丸いのが良いですね。それとつぶらな瞳が可愛い」とお二人ともお気に入りのようです。
▲長女の万佑子さん
▲次女の桃子さん
そして、奥さまは手元にクルマが来て「ドアを開けてシートに座る時に、ちょっと気分が上がるんです。パンナちゃんって呼んでいるんですけど、パンナちゃんに今日乗ろうと思うと、気分がふっと上がるんです」と本当に楽しそう。
これまでのクルマたちとは違い、奥さま自身のお気に入りのクルマだということが伝わってきます。
実は家族用で奥様がメインに使う大型のミニバンもあるのですが「自分1人で何も考えずに出かけるときはパンナちゃんですね。お天気が良いときには、ルーフを開けると気持ちが良いでしょう。そういう時は積極的にパンナちゃんに乗ります」とのことです。
そこで奥さまに500 Pannaを手に入れてからライフスタイルは変わったかを聞いてみました。すると「楽しくなりました。子育てで疲れたりしていても、買い物は行かなければいけませんよね。そんな時、これまでは『あぁ、気が重いなぁ』と思っていましたが『あ、今日はパンナちゃんで行こう』と思うと、ちょっと元気が出る。『よし!』みたいな感じになりますね」とまさに元気の源のような存在です。
鈴木さんもたまには乗るそうなので、実際に運転してみての印象を聞いてみました。
「小さく見えますが、実際に乗り込んでしまえば、広々としていて運転姿勢もすんなり決まります。NUOVA 500を彷彿とさせるツインエア エンジンの鼓動も明確に存在感をアピールしつつも、決して不快な類いのものではありません。また、ボディサイズが信じられないほど直進性にも優れているので、高速道路を使った長距離移動も疲れ知らずです。さらに、いかにもクルマを動かしていると実感できる生き生きとしたエンジンのおかげでまったく退屈しません。この快活さを街中でも日常的に味わえるのがツインエア エンジンの最大の美点だと思いますし、そのキャラクターは500によく合っているなと感じます。そして燃費がいいことも、もちろん嬉しいポイントです」とのこと。
どうやら鈴木さんも毎日でも乗りたい様子。「小学生の時に『カリオストロの城』を映画館で観て、その走りに衝撃を受けたルパン三世のNUOVA 500。その末裔に乗ることができて幸せを感じずにはいられません」と絶賛していました。
いま、長女の万佑子さんは美術系の大学に進学し、一人暮らしをしているので、手元にクルマが来ても駐車場の関係で置くことができず、暫くはご実家に預けておくそう。それともうひとつ「僕の家系の血を引いて放浪癖があるので“自由の翼”を手に入れると結構危ないんです」と鈴木さん。それは万佑子さんも認めるところで「手元にクルマが来てしまうと危ないです(笑)」とのこと。そのため「乗りたければ帰って来なさい」と鈴木さんは笑いながら話していました。
そして鈴木さんは「家族全員の共通の経験としてパンナちゃんに乗ってほしいんです。僕も妻も乗っていますし、今回長女も乗って、そのあと次女が免許を取得したらひと時でも乗ってもらって、同じ思い出、共通体験を持ちたいなというのがあるんですね」と少し遠くを見つめながら語ります。
「若い子が乗っていると可愛らしいですし、それ以上にこのクルマを通して生活にこだわりを持ってほしいんです。もちろんクルマに関しても同様で、何でもいいというのではなく、こだわりを持った選択をしてほしい。その経験は500のような特徴のあるクルマだと最適に感じるんです」
奥さまは「娘二人が好きなら乗ってもいいかなと思っています。『ほかのクルマでもいいよ』とは(プレッシャーになるので)話していますが、二人とも『乗る』と言うので、それはそれでいいかなと」と母親目線で温かく見守っているようです。
そのことはお嬢さまたちにも伝わっているようで「なんとなく免許を取る前から、うちのクルマの中で乗るんだったら多分パンナちゃんだろうなって思っていました。お母さんが運転していてすごく楽しそうにしているのも見ていましたし、可愛いなってずっと思っていました」と万佑子さん。
桃子さんも「ずっと乗るかどうかはまだわかりませんが、1回は運転してみたいなという気持ちはあります。小学生の頃からずっと助手席とかに乗っていて楽しいので、運転しても楽しいんだろうなと思っています」とのこと。また、学校などでのお迎えの際「『可愛いクルマね』とお友達にいわれるのでちょっと嬉しいですね」と笑顔で教えてくれました。
免許を取得したばかりの万佑子さんですが、帰省している間は毎日のように用事を作っては乗り回し、少しずつ愛車との距離を縮めているようです。「助手席とかに乗っていて、ちっちゃい体で頑張って走っているなっていうのは感じていましたが、運転したら私のためによりすごく頑張って走ってくれている感じがして、やっぱり可愛いなと思いながら運転しています。ちょっと嬉しいですね」とお気に入りの様子。そして「パンナちゃんは屋根が開くので、春になったら桜を見に行ったり、自然が多いところに行きたいですね」とさっそく放浪癖の片鱗を見せてくれました。
最後に、鈴木家にとってこの500 Pannaはどんな存在なのでしょう。
「もう我が家に来て8年になりますけど、あって当然っていう感じです。娘たちが乗らなくなっても、あるいは娘たちが外に出た時に、乗っていかなくてもうちに置いておきたいですね。ペットに近い存在です。パンナちゃんと呼んで、ずっと馴染んでいますので、機械とかクルマではない感じがします」とのこと。
鈴木さんご家族の皆さんに愛されているパンナちゃん。その室内では色々な会話が交わされてきたことでしょう。パンナちゃんは今後二人のお嬢さまに引き継がれていきますが、単にクルマだけではなく、鈴木さんや奥さまとの想い出とともに、お二人の手に渡るのです。その想い出にそっと寄り添っているのがまさにパンナちゃんなのです。
【INFORMATION】
▲今回のインタビューは鈴木さんのお馴染みのお店、カフェダイニング『NIWA』にて行いました。美味しいイタリアンはもちろん、修行したフレンチも得意のシェフは大のクルマ好き。鈴木さんならずとも通いたくなる1軒です。
Niwa
住所:栃木県さくら市氏家2545
TEL:028-682-3105
定休日:月曜日(不定休あり)
URL:https://tabelog.com/tochigi/A0905/A090502/9006294/
*各店舗情報につきましては、掲載時(2022年3月現在)の情報となります。新型コロナウイルス感染拡大防止措置により、変更となっている場合がございますのでご留意ください。また、外出の際はウイルス感染予防策を講じていただき、安全にご配慮いただきますようお願いいたします。
Text:内田俊一(Shunichi Uchida)
Photos:濱上英翔
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