イタリアでは「アルチザン」、日本では「職人」と呼ばれ、
それぞれの優れた伝統文化とその技術を受け継ぐとともに、 日常の中で実際に使われ、愛される「ものづくり」に魂を込めている人々がいます。イタリアの「ものづくり」文化を代表するFIATでは、
日本の文化ともっと交流し、もっとCuore(クオーレ:心)を通わせ合いたいとの想いから、 ひとつの特別なプロジェクトを立ち上げました。
FIAT × MADE IN JAPAN PROJECT
それは、日本の「ものづくり」文化継承を目的にするNPO法人
「メイド・イン・ジャパン・プロジェクト」とのコラボレーションによって、
日本の優れた伝統工芸品に、新たな光をあてる活動です。
文化が出会い、心がつながり、笑顔を育んでいくこの取り組みに、
これからも、ぜひご注目ください。
子どもの頃、こけしに触れた経験があるという方や、遊んだ記憶があるという方もいらっしゃると思います。しかし、こけしが一体、どのような経緯で作られたのかご存じない方も多いのではないでしょうか?実際、こけしの起源については江戸時代中期に生まれたと言われているようですが、山で木材からお椀や盆を作っていた“木地師”と呼ばれる人々が、湯治場に来た子供に向けての土産品として木人形の玩具して作られた、と言われています。もちろんその可愛らしさや作品性から、大人にも愛されています。
日本の優れた伝統工芸品に光をあて、モノづくりとその地域の文化や人々の心に迫るフィアット×メイド・イン・ジャパン・プロジェクト。第18弾では、宮城県・仙台に江戸時代から伝わる「仙台箪笥(たんす)」に注目。仙台箪笥は木の風合いが美しいケヤキの木材に漆塗りを施し、「舞かざり金具」と呼ばれる金属の装飾を施した意匠が特徴。その荘厳な雰囲気は、武家屋敷に置いてありそうな趣。今回のコラボレーションのお相手である熊野洞は、匠の技を受け継ぎ、仙台箪笥の全製作工程を一貫して行う熊野彰さんが職人さんと共に営む工房です。 有さんにFIATオリジナルのピクニックバスケットを製作していただきました。
日照時間は少しずつ短くなってきたとはいえ、まだまだ照りつける日差しに目を細めたり、肌にジリジリとした暑さを感じたりする今日この頃。この時期、お出かけを楽しむには、サングラスは必須。ということで、フィアットではメイド・イン・ジャパン・プロジェクトとの新たなコラボレーションとして、フィアットオリジナルサングラスを製作することに。目指すのは、高品質でデザインがよく、普段使いができること。自分の目を守ってくれることも大事ですが、さらに自分を高めてくれるようなサングラスを作り、皆さまに提供できたらいいなと。そんな想いでオリジナルサングラスの製作に挑みます。
イタリア好きの食卓に欠かすことのできないオリーブオイル。今回は、熊本県天草地方で 高品質なオリーブオイルの製造を行っている天草オリーブ園 AVILO(アビーロ)とコラボレーションし、「フィアット×アビーロ オリジナルオリーブオイル」を作りました。温暖な離島で陽光をたっぷり吸い込んだオリーブの実を収穫してすぐに搾油。 完成したエクストラバージンオリーブオイルを、天草に古くから伝わる伝統工芸、高浜焼の磁器につめた、メイド・イン・天草にこだわった製品です。おいしいオリーブオイルができるその秘訣に迫ります。
湯けむりが立ち込める、国内有数の温泉地、大分県別府。この地域で人々の生活に寄り添うように伝えられてきたのが、竹細工です。大分県が出荷量で全国第一位を誇る真竹を主材料に、職人が手作業で編み込む竹製品は、繊細にして丈夫。その技術を駆使し、竹細工職人の西本 有さんにFIATオリジナルのピクニックバスケットを製作していただきました。トリコロールを取り入れたその仕上がりは、伝統的でありながらモダンさを感じられるもの。所有するだけで日常をワクワクさせてくれる、FIATにピッタリのピクニックバスケットが完成しました。
岐阜の清流・長良川。その流域には自然の恵みや、それを元にしたものづくりの文化が育まれました。清楚な佇まいが独特の風情を醸し出す、岐阜和傘も地域を代表する伝統工芸のひとつ。長良川をたどって運ばれてきた美濃和紙などを原料に、江戸時代から作られてきた岐阜和傘は、その生産量日本一にまで発展しました。その岐阜の手工芸品を誇り、今なお手作りで丁寧に和傘を作り続ける和傘職人のひとり、田中美紀さんに、FIATオリジナル和傘を手がけていただくことに。岐阜和傘と、長良川がつなぐ流域文化の魅力に迫ります。
昭和初期から山辺町で作られるようになった山形緞通は、きめ細やかで粘り強い女性たちが手作業で織りなす、まるで絵画のような美しい絨毯。その技術と芸術性は海外でも高く評価され、世界の有名な建築でも使用されています。今回フィアットとコラボした「山形緞通」ブランドのオリジナルラグを手掛けてくださったのは、オリエンタルカーペット株式会社のみなさん。糸づくりから一貫生産することで生み出される繊細なグラデーションを活かし、見事なロゴを表現してくださいました。敷くのがもったいないほどですが、踏むほどに光が増して綺麗になるそうです。
京都で古くから培われてきた竹工芸。寒暖の差が大きい土地に育つ良質な竹を使い、職人が手作業で仕上げた作品には、自然素材のやさしさと手作業のぬくもりが宿ります。また、この地では環境負荷低減への関心も高く、循環型のモノづくりの取り組みが広まりを見せています。京都府長岡京市にある高野竹工も、そうしたプロジェクトを異業種と連携して行っている企業のひとつ。今回もそのノウハウを生かし、柳谷観音 楊谷寺からご提供いただいた古材を用いた箸箱と、伝統的かつモダンな竹箸を、FIATとのコラボレーションを通じて製作していただきました。
飛騨の山に育つイチイの木材を用いた伝統工芸、一位一刀彫り。独特の美しい木目をそのままに、着色をせず、職人が木取り→粗彫り→仕上げ彫りと丹念に仕上げていきます。今回のFIAT×一位一刀彫りのコラボシェルフは、手作業による雲のモチーフがワンポイントとなり、自然の温かみに溢れた作品に仕上がりました。一方、フレームは、刃物の街として知られる岐阜・関で加工された鉄を使用。無垢の素材がシッカリとアシンメトリーに配された板を支えています。岐阜の職人技とFIATの想いが詰まった素敵なシェルフが完成しました。
江戸時代に薩摩の英雄、島津斉彬が海外交易のために生み出したガラス工芸が薩摩切子。透明ガラスの上に色ガラスを被せ、掘る量を調整しながら色の濃淡を作り出していきます。彫り出す模様もさまざま。すべて職人の手作りで絢爛な作品が生まれます。明治に入り、一度は途絶えてしまった薩摩切子は、約100年の時を経て1985年に息を吹き返しました。以後、30年に以上にわたり薩摩切子の復興に尽力されてきた中根櫻龜(おうき)さん率いるガラス職人の方々に、FIATロゴ入りオンザロックタンブラーを作っていただきました。
“水が命”といわれる和紙づくり。歴史ある美濃和紙は、鵜飼で知られる清流、長良川と板取川で育まれます。2014年にはすべての工程を1300年前と同じ手作りにこだわり、原料に植物の楮(こうぞ)のみを使った本美濃紙が、ユネスコの無形文化遺産に登録されました。今回フィアットとコラボした本美濃紙を手掛けてくださったのは、本美濃紙保存協会の会長で国の重要無形文化財でもある澤村正さん。一枚一枚丹念にすいて完成した和紙は、独特の輝(て)りと質、高い耐久性を特長とします。
岡山県西南部の井原市周辺は江戸時代より藍染織物が盛んで、明治・大正時代にこの地で生産されていた厚地織物こそ、日本のデニムの起源といわれます。その後、1970年代にジーンズの生産量も飛躍的に増え、“デニムの聖地”に。そして現在、「井原デニム」の品質は世界から高く評価されています。今回、井原のセルビッチデニム(旧式の織機で織られた貴重なデニム)にFIATのロゴパターンが入ったポーチの製作が実現。肉厚ながら手に馴染み、年を経て独特の風合いを増していく、そんな逸品に仕上がりました。
山間に入江を望む、豊かな自然に囲まれた宮城県・雄勝。この地に450年ほど前から続く、硯(すずり)づくり。採掘した原石を切断し、職人の手で丁寧に掘って製作します。なかでも雄勝ならではの特徴的な製品が、1枚の天然石を薄く割り、硯とその蓋をつくる共蓋(ともぶた)付き硯。手を休めるときに蓋をすることができる利便性と、天然石ならではの風合いを兼ね備えます。今回のFIATと雄勝硯のコラボレーションでは、共蓋にFIATエンブレムが彫り抜かれた、唯一無比の硯が完成しました。
愛知県名古屋市有松に残る日本建築の美しい町並み。名古屋市の町並み保存地区にも指定されるこの地域に、慶長年間から伝わる伝統工芸品が有松絞りです。絞り染めと呼ばれる伝統の染色方法により塗り分けられる絵柄は、素朴ながら無限の可能性を秘めています。今回、制作された2種類のFIAT×有松絞りオリジナルストールは、いずれも有松の伝統技法を駆使したもの。素材は有松が新たに注力しているウールを使用。伝統を守りながら、新たな挑戦にも踏み出したコラボレーションストールが完成しました。
vol.7
日本で古くから親しまれてきたうちわ。中でも香川県・丸亀市の丸亀うちわは、400年以上の歴史を持ち、全国シェアは8-9割を占めると言われます。今回は、その丸亀うちわの伝統工芸品である竹うちわを使い、地元の職人さんにFIATオリジナルうちわを制作していただきました。丸亀の竹うちわは、うちわづくりに最適な竹の伐採に始まり、柄や骨の加工、地紙の貼り付けまですべてが手作業。手間の掛かる工程を経てできあがる竹うちわには、プラスチック製のものとは一味違う、やさしい風を運んでくれます。
アイヌ文化が息づく北海道・平取町二風谷。この地に古くから伝わるのが、木製の浅く平たい形状の盆「二風谷イタ」と、沙流川流域の森に育つ、オヒョウなどの樹皮から作った糸を機織りした反物「二風谷アットゥシ」です。今回のコラボレーションでは二風谷の職人さんがFIATのために、二風谷イタの彫りの技術と模様を取り入れたキーホルダーと、糸に撚りをかけて丈夫にした生地にフクロウの模様をあしらったトートバッグを特別に制作。アイヌのモノづくりとFIATの出逢いがカタチになりました。
城下町・会津の地で育まれてきた伝統工芸品、会津漆器。400年の時を越えて生き抜いてきた伝統の製法には、もともと日用品としての器を作ってきた産地ならではの「ぬくもり」と「使い込む楽しさ」が秘められています。数ある漆器の中でも、ピクニックでの使用など、アウトドアでも気軽に漆器を使うことをコンセプトに掲げる「ノダテマグ」の考え方にFIATは共感。本コラボレーションを通じて、FIATのように人々のライフスタイルを楽しく演出する、特別なマグカップがつくられました。
木地に漆を塗り重ねて作りあげる和の伝統工芸、漆器。なかでも石川県の「山中漆器」は、精度や仕上がりの美しさにこだわった縦木取りという製法で木地を仕上げ、その木目を残す漆塗りの手法により、木ならではのあたたかみのある仕上がりが特徴。今回、FIATがセレクトした椀は、そうした伝統を守りながら、日本食にもイタリアンフードにもあう、実用的でスタイリッシュなデザインが魅力。レトロな雰囲気のFIATロゴが、けやきの木のぬくもりと調和しています。
岐阜県郡上市に400年間続く夏の風物詩、郡上祭り。下駄を鳴らしながら踊り明かす「徹夜踊り」には、カラン、と気持ちよく鳴る下駄が重宝されました。今回、FIATとコラボレーションをした郡上木履(ぐじょうもくり)は、材料にヒノキを使い、下駄全体を1つの木材から削り出す方法にこだわることで、音にもデザインにも美しい下駄をつくりあげています。人を楽しませるためにこだわり抜く。FIATと郡上の職人たちの想いが通じ合う中で、素敵な下駄をつくることができました。
江戸時代から金属加工の歴史を誇り、今でも洋食器の産地として世界的に有名な新潟県燕市。FIATは、この地に継承されるモノづくりに感銘し、職人の方々とともにカトラリーを制作しました。燕市に受け継がれる研磨技術を生かした、他では珍しい黒光りをするカトラリーに、FIATのロゴや「500」のシルエットが刻印されています。シンプルさの中に美しさを表現し、世界中から愛され続けるFIAT車のデザイン。そのセンスをさらに磨き上げるように、世界でひとつのカトラリーがつくられました。
伊万里焼とは、佐賀県有田町を中心とし、旧肥前国周辺で生産された磁器の総称です。伊万里焼の美しさは江戸時代に海を越え、ヨーロッパの上流階級の人々を刺激し、欧州美術に影響を与えたほどでした。今回は日本の伝統技術で、イタリアの食文化を代表するパスタ用の皿を制作しながら、異なるカルチャー同士で、モノづくりへのこだわりに共感し合うコラボレーションとなりました。